アジアにおける個人向けサイバー商品
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アジアにおける個人向けサイバー商品

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    サイバー保険について話すときに注目される話題の多くは、企業リスクを狙ったランサムウエア攻撃が原因の、特にアジアにおけるサイバー商品市場の硬化が関連しています。ただし、特にアジアにおける、個人にとっての実際の脅威は見過ごされがちです。在宅勤務が一般的になり、インターネットの使用量が増加し、IoT(モノのインターネット)テクノロジーが一般家庭にも増えている現在、アジアでは個人を標的としたハッカーが警戒すべきレベルで増えており、アジア独自のリスクとなっています。「個人向けサイバー商品」は、こうしたリスクに対処することを目指しています。

    アジアが他地域とは異なるサイバー犯罪の高リスク地域と考えられるのには、複数の理由があります。主な理由は、アジア太平洋諸国における、完全なデジタル化に向けた動きのスピードです。各国政府も、コロナ禍がもたらした「新しい日常」も相まって、デジタル化を導入し、促進しています。例えば、韓国は「デジタルニューディール」1を打ち出し、5Gネットワーク、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、データインフラ、スマートエコシステムをますます促進しています。
    The Japanese Information-Technology Promotion Agency under the Ministry of Economy, Trade and Industry released its Top Ten Cyber Threats 2021. ²
    多くの国や組織がデジタル成長を推し進めているかもしれませんが、アジアの消費者がこの新しい環境に適応する速さは驚くべきものです。現在、アジア太平洋諸国の人口の70%がスマートフォンを所有しています3。また、この人々が全世界のインターネット人口の半分を占めています。東南アジアのみを見ても、デジタル消費者の伸びは、2025年までと予測されていた310万人が2020年に達成されました4。このようにユーザー人口が急激に増加する中、人々が共有するデータと情報の量も増え、消費者が適切に守られることがますます必要になっています。しかし、他の地域と同様に、こうした成長速度は、保険会社を追い越しています。保険会社は追う側 に回り、ギャップを埋めようとしている状態です。一方、多くの消費者は慎重なサイバーハイジーンを知らず、そのため攻撃を受けやすい状態にあります。

    アジアにおけるサイバー犯罪

    ハッカーらは、アジアにおけるこのような脆弱性を利用しています。ランサムウェアインシデント、ネット詐欺、新型コロナウイルスに関連したフィッシング行為は、いずれも著しく増加しています5。例えば、シンガポールのサイバー犯罪件数は、2019年の9349件から2020年に1万6117件に増加し、これは2020年に発生した全犯罪の43%を占めていました。インドのムンバイでは、ある女性が9万2000インドルピー(約13万8000円)以上を盗まれた事件が発生しましたが、これと同様の状況が増えています。また、中古のソファをオンラインで売ろうとしただけでも、犯罪者がバイヤーになりすまして銀行口座にアクセスできる場合があります。金額は小さいものかもしれませんが、このような事件の発生件数は増加しており、個人レベルで人々が被害を受けています。

    コロナ禍の下では、人々が以前よりもインターネットに時間を費やしたり、リモート環境で仕事をしたりしているため6、環境が変化し、ハッカーにとって新たな接点が生まれています。このため、事態は明らかに悪化しています。このような新しい変化は、私たちの働き方を変え、私たちを取り巻くインターネット世界に対する認識も変えています。

    ノートンが実施した調査によると、インドの回答者の70%、日本の回答者の73%が、リモートワークが理由でハッカーにとって容易な標的が増え、サイバー犯罪が発生しやすくなったと答えています。日本消費者の66%、インドでは72%が、コロナ禍が理由でオンラインで費やす時間が増えたことを考えると、このセンチメントは驚きに値しません。当然ながら、犯罪者はこの大きな社会的な変化を利用するため、サイバー犯罪に対する社会の安心感は失われます。その結果、インドでは63%、日本では53%の消費者が、コロナ禍以降はサイバー犯罪に対する脆弱性が高まったと答えています。

    ギャップを埋める個人向けサイバー商品

    現在の市場で主に補償範囲となっているのは、金銭、資産、その他の資金などの不正な電子取引をカバーする「資金の盗難」です。しかし個人向けサイバー商品では、個人を対象に、進化を続けるダイナミックなサイバー犯罪に対処する幅広いソリューションを提供します。例えば、オンラインでハラスメント、脅迫、名誉棄損を受けた場合の心理的な治療を補償することで、「ネットいじめ」をカバーします。さらに、悪意ある攻撃によって損失・破損したデータに高額な復旧コストがかかる場合にも、ノートPC、スマートフォンといった個人端末を守ります。

    アジアにおける個人向けサイバー商品の概要

    サイバー保険商品は依然として必要不可欠ですが、人々は保険業界からより多くのサポートを必要としています。コロナ禍で変化した状況は、一時的なものではありません。私たちは、ビジネスを発展させ続けるために人々がやりとりをし、業務を行える方法を期待することができます。オンラインで費やす時間が増えた今、自身が危険にさらされていると感じていることが、サイバー脅威が存在することの証です。保険業界には、こうしたリスクをカバーし、消費者に様々なリスクを知らせ、教える責任があります。人々がより多くの情報を得ていれば、私たちのレジリエンスが高まります。こうした中、弊社は個人向けサイバー商品などのリスク転移ソリューションを充分に提供し続け、個人がオンライン犯罪の被害を受ける前も後もカバーしなければなりません。サイバー攻撃が「もしも」発生したら、ではなく「いつ」発生するのか、という問題は、もはや企業に限らず、個人にも当てはまります。

    ミュンヘン再保険では、脅威が増加している新たな状況で個人の皆様をお守りする個人向けサイバー商品に取り組む準備ができています。サイバー保険市場におけるこの興味深い分野を、どのようにして共に開発し形成していくことができるか、相談をご希望の方は、ぜひお問い合わせください。